そこへ久々の寒い冬で、これまでしばらく着なかった、
長袖のアンダーシャツが放せない。
痩せて脂肪が減ると寒い........ を実感した。
この時期を旬とする魚には、寒ブリ、寒ビラメなどと寒の字が付く。
モノの本にこうあった。
『寒の魚は身が引き締まって美味なり、
秋は小魚多く飽食して脂肪過剰となるが、
水温低下期に当たって魚体を絞られ、適度な脂の乗りとなる』
が、釣り人の目からみれば、やや違う気がしないでもない。
魚は変温動物。体の周りの水温と体温が一緒になる生き物だ。
夏に比べて水温低下期には2割増の脂肪を蓄えるのも、
厳しい冬に動くためのエネルギーを溜め込むにほかならない。
蓄えた脂肪で春までの耐乏生活を送る。
食欲の秋に飽食して体重が増え、衣服の厚い冬は委細構わず、
薄着となる春に慌てるのは私だけではなかろう。
が、極地で遭難でもした場合、
痩身の人よりは一日ぐらい余計に生き延びる可能性がある…らしい。
極地探検から帰ったら真ん丸の肥満オバサンに変身していた。
これも同じ理由というのを、痩せて寒がりとなった今年の私は信じられる。
ヒラメの刺し身で珍重されるのがエンガワで、
シコシコと歯ごたえがあって旨い。
『夏と鮃は縁側がいい』とはエアコンが普及する前の話。
ヒラメやカレイは全身を波打たせるように泳ぐ。
この運動筋肉がぐっと締まって美味…というわけだ。
エンガワとは尾鰭と背鰭にちかいところの身を指し、
コラーゲンという精力の付く成分を含むそうだ。
細胞膜を強固にする力があり、皮膚の若返りに効果ありとか。
そろそろ私もヒラメ釣りに精をだせねばならない。
通常体にした時に目がどっちにいくかなのだが、
大多数はこうであるということ。
左に目のあるカレイもあって、なかなかにややこしい。
孵化して3週間は、ヒラメもカレイも普通の魚と同じく側偏形。
ヒラメの場合は25日ぐらいから右目が移動し始める。
そして目が頭の上に回った時、変態が完了して背を上にして泳ぐようになる。
大きいからヒラメかというとそうばかりではなく、あのオヒョウはカレイの仲間。
鮃と名の付くシタビラメもウシノシタ科で、これもカレイの仲間。
ちなみに漢字の鰈は、蝶のように平たいところからだという。
形はまさにウシノシタ。焼き肉のタンだ。
が、本来はあまり旨い魚ではない。高級魚と思わせたのは、フランス料理のお陰。
九州地方でクッチョコ、山口でイタジョウラ、英語圏でもソールというらしい。
思いはいずこも同じ、草履や靴底を連想するらしい。
淡水の湧く海底に棲むがゆえに美味なのだそうだ。
旧日出城主木下氏の紋所が体表にあるとは、お国自慢の一つ。実はマコガレイなのだ。
イシガレイは体表に小さな突起物があって、石のように見えるからイシガレイ。
これは成魚になってから真皮上の鱗が石灰化したもの。
浜名湖は両種の交わる混棲域で、11月に外海から湖内へ乗っ込んでくる。
浜名湖にはピッタリの粋な名前で復活させたいぐらい。
春先に浜名湖で釣れる2~3kgの巨大カレイがイチョウガレイ。
2~3月に1シーズンで数枚、潮通しのよい舞阪ミオやT字堤前で釣れる。
イッチョガレイだとの説もある。
本名はホシガレイ。
船のイケスから上げて3時間。魚拓を取ろうと墨を塗ったら最後の一撥ね。
障子やら襖に墨が飛び散って大騒ぎ、生命力の強い魚ではある。
大皿3枚に大盛りの刺し身、座敷に溢れるほどの人を呼んでも食べおおせなかった。
まず包丁は背の真ん中の筋目に沿っていれ、次に左側を肩口から尾におろしていく。
その次は向きを変えて腹身をおろす。
腹側を同じようにおろせば、上身と下身で各々2枚ずつ。
できれば一日寝かせておきたいが、我慢できなければ薄造りにする。魚シャブもいい。
皿の模様が透けて見えるような薄造りはフグ刺し。
ひと昔前ならわれわれ庶民の口には到底入らなかったシロモノだ。
ご存じのようにフグは《テトロドトキシン》という猛毒を持つものが多い。フ
グは食いたし、命は惜しし。
その昔、フグの毒に当たると、首だけ出して土中に埋めたとか。
テトロドトキシンは神経を麻痺させる毒で、呼吸ができずに死に至る。
フグは自らの毒をシャットアウトする機能を持っているとか。
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